日本生物地理学会 2002年度大会シンポジウム

生物地理学の次元:歴史と系統,群集と生態,形態と分子

2002年4月14日(日)09:30-17:00
立教大学7号館 7102号室(〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1)


[趣旨] (三中 信弘)

  生物地理学は歴史の長い学問であるが,過去半世紀をふりかえってみると, その理論・実践の両面にわたって長足の進歩を遂げてきたことがわかる. 生態学的生物地理学と歴史的生物地理学のホットな論議は, 系統学と地理的分布との関連づけ適切な説明のあり方に再考を迫った. 両者は単に時間的・空間的スケールの違いだけでなく, 推論様式と仮説検定の点で根本的な違いがあると考えられる.さらに,近年の分子データの蓄積は, 系統推定とそれに続く進化解析のための新たな情報源としての利用価値を生物地理学にもたらした. しかし,新しいタイプの形質情報は新たな解析ツールを要求する. ある地域に生息する複数生物群の系統樹から地理的分布に関する仮説を導くのは, 通常の系統推定よりも高次の推論である.本シンポジウムでは, 生物地理学の最近の進展を反映する新しいデータと新しい手法の効用について議論する場を提供したい.